FIU・JAPAN・GAZETTE 1996年10月13日


▽「アトピック・サイト」「オン・キャンプ/オフ・ベース」展での検閲について
まるでおむつかパンツのように白い布で下半身を覆われたシェリ-・ローズ氏の作品「ボバルーン」を、新聞、雑誌、テレビ等でご覧になった方も多いと思います。彼女のパートナーだったボブ・フラナガンを追悼する一方、「病気のスーパーマン」としてペニスを突っ立てた巨大なビニール風船の人形の前に線香を立て、ユーモラスだけれども直載的に家父長制、男性中心の支配システムを批判するという作品だったのですが、それが、ご存じのように「公然わいせつ物陳列罪の疑いがある」として深川警察署から警告を受けたことで、いくつかのマス・メディアで取り上げられることになったわけです。ところが、今回の展覧会で起きた検閲、規制はローズ氏の作品に対してだけではなく、沖縄でのアート・イン・レジデンス、シューリー・チェン氏の作品、沖縄プロジェクトの作品、ピーター・フェンドの作品、キュレーターの文章に対してなど、ここで挙げきれない数があり、その報道がローズ氏の作品に集中し、また「芸術かポルノか」というかたちに一般化、単純化されたことで、そのほかの検閲・規制から目を逸らせていくという効果をもたらしたように見えます。ローズ氏の作品についても、アメリカの女性アーティストが日本の社会慣習を知らずにエッチな作品を作って、警察から警告を受けたという話ではないのです。
今回の問題について考え、話し合っていくための前提として、展覧会の企画から実施までの間にいったい何がどういうふうに起きていったのかを、具体的に知らせていくことが必要だと思っていますが、たくさんのことが起きており、10月13日の会合の知らせにも間に合わなくなるので、断片的になりますが、いくつかの資料をコピーして同封します。繋がりが分かりにくいかもしれませんが、読んでみてください。また、シューリー・チェン氏の作品のことについては、今月の月刊「社会民主」(一般書店にて注文可)に詳しく、また、次号の「インパクション」、「美術手帖」では、今回の展覧会について特集が組まれます。パソコン通信、インターネットのできる方、また友人、知人にそういった人がいる方は、さらに詳しい情報が小倉利丸さんのホームページ(http://www.jca.or.jp:80/~toshi/mes.html )に、またTOKYO ART SPEAK のTAS アトピック検閲問題メーリングリストへの参加は、住所、名前、メール・アドレス、電話・ファックス番号を明記の上、吉本裕美子さん(yoshi@rd.jip.co.jp)、または、原万希子さん(tas-hara@jca.or.jp)まで連絡をとってください。
今回の検閲問題について、すでにいくつかの集まりが持たれており、FIU Japan でも、宮前正樹さん・大榎さんたちのアート・ストライキ、田崎英明さんを中心としたC.L.I.Project との共催で、9月1日に北沢タウンホールで集会を開いています。急いでいたため、一部の人にしか案内をすることができませんでした。この場を借りておわびします。ヴィデオと配布資料を送りますので、関心のある方はご連絡ください。7月のミーティングの報告は略します。
(守谷)

▼会計報告 「オン・キャンプ/オフ・ベース」展、9月1日に開いた検閲問題を巡っての集会の清算はまだできていません。ですから、前回7月のミーテングまでの会計報告となります。収入、支出ともにいつも通りといったところです。
収入
前回繰り越し 6,552 円
参加費 9,000 円
カンパ 500 円
計 16,052 円
支出
会場費 1,000 円
切手代 7,520 円
封筒代 435 円
コピー代 2,850 円
計 11,805 円

▲「熱情-伊藤野枝の青春」出版協力のお願い
昨年、若槻世都子さんが亡くなられたことは、このガゼットでもお知らせしました。たいへん残念なことだったと感じていますが、今、友人有志の手で、彼女の書き残したシナリオ「熱情」を自費出版する計画が進んでいます。すでに連絡を受けている方も少なくないとは思いますが、送られてきたファクシミリをコピーして、このガゼットに同封します。
協力をお願いします。連絡先の一つになっている曽根さんは引っ越ししたそうなので、連絡は新井博之さんまで。コピーの裏側は、朝日新聞のコピーです。

△「ヨーゼフ・ボイス没後10年-新しい芸術の解釈をめぐって」
次回のガゼットでチラシを同封したいと思っていますが、11月19日(火)から21日(木)まで三田の慶應義塾大学アートセンターで、ヨーゼフ・ボイスのヴィデオ上映会が開かれます。日本初公開のもの、特に英語版のものを中心とした10本程度のヴィデオ上映と、ギュンター・ミナス氏によるレクチャー、日独シンポジウムという内容です。参加無料ですが、申し込みが必要。問い合わせは、東京ドイツ文化センター(Tel.:03-3584-3201 )または、慶應義塾大学アートセンター(Tel.:03-3453-0250 )まで。お見逃しなく。

☆次回ミーティングのお知らせ
「On Camp/Off Base」展に出品した作品についての反省と会計報告、さらに、展覧会で起きた規制・検閲問題について。神宮前区民会館には空いている部屋がなく、また千駄ヶ谷区民会館は休館日で使えないため、渋谷の喫茶ルノワールの地下にあるマイ・スペースが会場となります。関心のある方は、ぜひご参加ください。
日時:10月13日(日)午後6時~10時
会場:マイ・スペース渋谷(渋谷区宇田川町4-3 興和ビル  喫茶室ルノワール・パルコ横第1店B1F Tel.:03-3770-1980 )
参加費:1,000 円程度
問い合わせ:Tel./Fax. 03-3395-6175 守谷


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